皆さんこんばんは。お元気ですか?
少し前にピケティの「21世紀の資本」に興味はあったのですが、あの分厚さに恐れをなして読んでおりません。が、投資に興味を持ち、ブログやYoutubeなどを見ておりますと、頻繁に出てくる「r>g」について書かれた当該書籍を、いずれは読ませていただきたいと考えていたところ、表記の要約本を見かけたのです。
読みやすく、大変ためになる本でした。まず漫画が面白いですね!ストーリーは、文鳥好きですがブラック企業勤めの主人公「月村ひかり」が、周囲の方たちに教えを請いながら成長し、小さいながらも自前の店を開き、人生を切り開く一歩を踏み出していくというもの。漫画は小山鹿梨子さん、監修は「21世紀の資本」の訳者でもある山形浩生(ひろお)さんです。山形さんは訳書もすごい多いのですが、経済学やIT、環境問題等の著作もあり、SFにも造詣が深いのですね。恐ろしく多才な方のようです。まず東大出身でMITの大学院でマスターをとっているという時点で、権威に弱い私としては完全降伏です!
もくじ!
格差と分配
「21世紀の資本」のメインテーマとして、富の分配や格差の開きがどのように変化してきたかを解明するということがあります。まだ読んでいないですが!昨今の日本でも、経済格差が広がってきているという話はよく聞きますね。
経済学の定説は、「格差は最初に広がっても、経済成長をすれば自然に収れんする」というものだそうです。先進国が持つ知識・技能の供給が進む過程で差が小さくなるという結果を生じるわけですが、ピケティはその差が縮まるかは怪しいと考えているそうです。格差に自信を縮小する力があるとは限らない。それは、『資本収益率(r)>経済成長率(g)』という現実があるから。理論ではなく歴史が示す事実。過去に蓄積された富は、労働で得る富より成長が早く、結果として富裕層がますます金持ちになるという理屈です。
先進国では経済成長率はもう上がらない!?
ピケティ曰く、「国の経済成長は年率3~4%はあるべき」という議論があるが、それほどの「急成長」は先進国に追いつこうとした国で一時できに起こる現象に過ぎないとのこと。この300年間、世界経済の成長率は年平均で1.6%に過ぎず、しかもそのうち半分が人口が増加して労働者の数自体が増えたおかげであり、技術の進歩によって生じた経済成長率は、わずか0.8%に過ぎないといいます。そんなに少ないですかねぇ。
資本の蓄積で国は金持ちになっていく
今後も人口減少などで成長率gの低迷が予想されており、「資本主義の第二法則」によれば、資本/所得比率はさらに上昇する。これ自体は悪いことではないが、人々が持つ資本に多寡がある場合、貧富の格差がますます増大する。
不平等の拡大
日本の所得格差は一貫して拡大しています。数字だけ見ればアメリカに比べればまだましですが、直線的に上昇しているのは不気味ですね。
ジニ係数(じにけいすう)分類:分析・指標
出典:野村證券HP証券業後解説集
ジニ係数は、イタリアの統計学者コラド・ジニにより考案された所得などの分布の均等度合を示す指標で、国民経済計算等に用いられる。ジニ係数の値は0から1の間をとり、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示す。一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態となり是正が必要となると言われている。
ジニ係数は、世帯を所得の低い順に並べ、世帯数の累積比(横軸)と所得の累積比(縦軸)の関係性をグラフ化したローレンツ曲線を用いて求められ、所得が均等に配分されている状態を示す0(原点)を通る45度の直線(均等分布線)とローレンツ曲線との間に囲まれた部分の面積を2倍して算出する。
r>gという歴史的現実を直視せよ
格差の根本原因を、ピケティはr>gという不等式にあると指摘しています。資本収益率rは、経済成長率gを常に上回る。この不等式は理論的に導かれた概念やモデルではなく、ピケティが調査した歴史データが示す事実である。資本収益率rと経済成長率gは逆転しない!
また、投下した資本が大きいほど資本収益率rが高くなる。この現実がある限り、富める者はますます富んでいく。お金は寂しがり屋は本当である。
ピケティの法則まとめ
感想!
この本、かわいらしい表紙のため侮られがちかもしれませんが、大変参考になりました。先にも申しましたとおり、原著は700頁と大著であり、おいそれと読みこなすことができないボリュームですが、本漫画はピケティの主だった主張を簡潔かつきれいな絵で説明してくれており、入門にはピッタリだと思います。この本を読んでから原書を読めば、理解も早まるのではないかと思いました。おすすめです。